IC担当者様による学びあい・高めあいの場「IC Meetup」事務局の高木です 。
7月17日(金)、「“社内報制作”で終わらせない。ICを入り口にしたキャリアの可能性」をテーマに、IC Meetup内のプログラム「ICP Session」を開催しました。(ICP:Internal Communication Producerの略。社内報をはじめとしたIC施策の戦略・実行をミッションとする方々)
当日は事例共有だけでなく、参加者同士の対話やワークショップも実施し、20人の参加者とともに、「IC担当者という仕事の可能性」を改めて考える時間となりました。
社内報制作やインターナルコミュニケーション業務を入り口に、それぞれどのようなキャリアを築き、どのような価値を発揮しているのか。リアルな経験を交えながらお話しいただいた、当日の様子をレポートします。
登壇者紹介
今回ご登壇いただいたのは、株式会社ファイブグループホールディングスの式地知美さん、株式会社ハリズリー/株式会社土屋鞄製造所の小笹玲子さん、安重百華さん。いずれも社内報アワードでの受賞歴があり、企業の垣根を超えたIC業界の発展に多大な貢献をいただいています。
式地 知美さん
株式会社ファイブグループホールディングス
経営戦略推進部 広報担当
2011年にアルバイトとして入社後、社員登用され居酒屋の店長を務める。バックオフィスへ異動後、2019年から社内報制作に携わる。現在は、会社のブランディング・理念浸透から社内外広報、noteでのオープン社内報運用、イベント運営など、経営課題の解決に関わる幅広い業務を担当する。

小笹 玲子さん
株式会社ハリズリー/株式会社土屋鞄製造所
コーポレートブランド推進部
大手広告代理店での営業職を経て、2021年に土屋鞄製造所に入社。Web社内報『革ノオト』をローンチさせる。2025年にハリズリーへ出向。現在はグループ報の運用、noteでのオープン社内報立ち上げなど、企業広報・採用広報を担当する。

安重 百華さん
株式会社ハリズリー/株式会社土屋鞄製造所
コーポレートブランド推進部 兼 人事部 採用育成課
2023年に新卒で土屋鞄製造所に入社。ランドセル・KABAN製品を扱う軽井澤工房店配属を経て、2024年9月に人事部コミュニケーションデザイン課兼 採用育成課へ配属。現在は、ハリズリーのコーポレートブランド推進部と、土屋鞄製造所の人事部採用育成課を兼務し、企業広報と採用広報を担当する。

ファシリテーター
菱谷竜太(そるか)さん
一八(いちばち)代表 / 天王寺のるかそるか
新卒から12年間、大手不動産会社にて主には採用部門の課長として新卒・キャリア採用やオンボーディングを管轄。2026年5月に独立し、現在は採用コンサルティングやイベントMC、コンテンツ企画を手がける。

私は会社の法人格のトンマナ管理人
今回の座談会の中で印象的だったのは、登壇者の皆さんが「社内報を作る人」としてではなく、「組織をつなぐ人」「組織課題を解決する人」としてICの仕事を語っていたこと。
ファイブグループの式地さんは、理念浸透や社内広報だけでなく、経営戦略や採用ブランディングにも関わる中で、自らの役割を次のように表現されていました。
「自分の仕事は、株式会社ファイブグループホールディングスという会社の法人格をつくること、守ること。法人格のキャラクターのトンマナの管理人だと思っています。社内の中で最もいろいろな層と関わってきたからこそ、そう自負しています」
社長の想いも、事業部長の考えも、現場の店長やアルバイトの声も知っている。ミッション・ビジョン・ウェイも、社長と誰よりも対話を重ね作り上げた。
会社全体の“らしさ”を守りながら、どのような言葉を使い、社内外でコミュニケーションをとっていくか。
約3000人の組織で、従業員の入れ替わりも多い中でも、会社としての一貫性を保つ仕事を、式地さんは担っています。

無数のストーリーを資産へ。価値を生み出すIC担当としてのミッション
ハリズリーの小笹さんは、原稿執筆や撮影など取材経験がなかったところから、この5年間で500件以上の取材を重ねてきました。
「会社に眠っているたくさんの価値を、きちんと言語化してアウトプットする。それを社内にも社外にもコミュニケーションとして循環させていくのが、私たちのミッションだと思っています」
社長の考え、職人の想い、店舗スタッフの声、新卒社員の悩みなど、組織の中にある膨大な情報やストーリーを社内報の記事として蓄積。当初社内向けに作成したコンテンツは、資産として、採用広報や企業広報にも役立っていると言います。
「大量のコンテンツが社内に溜まっていて、そのコンテンツの数だけものづくりのストーリーがあるんですよね。
それって、組織としての大きな資産だと思うんです。
その貯めてきた資産を言語化・可視化することで、自分たちの仕事も価値あるものに転換していくことは、IC担当のミッションとして自分に課しているところでもあります」
社長の発言を、ひょっとすると社長自身よりも自分は覚えている。現場で困っていることがあれば、自分なら「あの人に聞けばいい」と人をつなぐことができる。挑戦する人を社外に紹介できる。
インターナルとエクスターナルの境界を越えた実践は、参加者にとって大きな刺激になったようです。

人を混ぜこぜにすることが面白い
新卒で土屋鞄製造所に入社した安重さんは、店舗勤務時代から、職人と店舗スタッフの連携を強化すれば、より多くのお客様へ魅力が伝わり、ファン拡大につながるのではないかと感じていました。そこで両者をつなぐ取り組みを実践。
その経験を振り返りながら、「人を混ぜこぜにすることが、自分が思っていた以上の結果を生む」と話してくれました。
自分の若さとキャラクターを活かして、役員にもベテランの社員にも自ら話しかけに行く。取材で得た声を、役員たちに「現場はこう思っていますよ」と伝える。
「小さな行動ですけど、会社の風土を変えたり、新しい制度をつくったりするきっかけになればいい」
安重さんの言葉からは、最終的なアウトプットだけでなく、その過程も含めて、組織を活性化させようとする姿勢が伝わりました。

ICの仕事の可能性
登壇者3名に共通していたのは、そこに至る経緯は異なれど、「社内報という仕事を、自社を良くするツールと捉えている」という点。
式地さんと小笹さんは、会社のタイミングや動きの中で、気づいたら社内報に携わるように。安重さんは、自分で見つけた課題の解決に向けて行動を起こした結果として、社内報の仕事を任されました。
その中で、ICの仕事をいまどう捉えているのか、最後に聞きました。 (ファシリテーターの菱谷さんには、終了後、感想を伺いました。)

●式地さん
IC担当ではありますが、私の所属は経営企画部門なので、やるべきことは組織課題・経営課題の解決だと思っています。弊社の役員が「質の良い仕事は、質の良い“問いを立てる”ことからはじまる」とよく言うのですが、ICの仕事はまさに問いから企画を生み出し、スモールスタートでやってみることができる。様々なレイヤーと関わる中で、今、組織に必要だと思ったことをどう社内報に落とし込んでみようかな?と、楽しみながらやっています。
●小笹さん
「私たちの仕事は経営課題の解決にも直結する」と、視座を高く持ち動くようにしています。でもIC施策は効果が出るまですごく時間がかかるので、自分の機嫌をいかに自分でとるかっていうのもすごく大事。だから、心が折れずに、継続して打席に立ち続けることも大切です。最初は自分が楽しめる企画からまずはやってみるという姿勢でもいいのかなと思います。
●安重さん
最初は現場の声を自分が伝えようと思ったところから始まりましたが、やっていくとそれだけではなくて、見えてくるものがどんどん広がっていく。次の山が、次の山がと段階が上がっていき、気付いたら遠いところまで来てるという感覚があります。それがICの仕事の面白さ、魅力だと感じています。
●菱谷さん(ファシリテーター)
自らを「単なる社内報制作担当者」とするのか、それとも「社内報をツールに経営課題を解決する存在」と位置付けるのか。この視点の違いひとつで、キャリアの可能性は大きく変わります。
改めて俯瞰すると、社内報担当には「経営との距離が近い」など他の部署にない強みがあります。この立ち位置を活かし、「社内報の企画だから」というパスを良い意味で言い訳にしながら、社内でいろんな挑戦や実験を試していく。それこそが、組織を動かすキーパーソンになる道なのだと実感しました。
参加された皆様がご自身の価値を再定義し、目つきが変わっていく瞬間がとても印象的でした。
参加者が再発見した「ICという仕事の価値」
後半のワークショップでは、自身の業務を振り返りながら、「IC担当者だからこそ得られているもの」を参加者同士で共有しました。
そこで出てきたのは、「誰とでも話せる立場 」「社内の情報が自然と集まる環境 」「経営と現場の両方を知る機会」 「新しいことを小さく試せる自由さ 」といった声。
アンケートでも、「ICの意義や楽しさが言語化されていて心強かった」「前向きになれた。よく考えたら色んなスキルを身に付けていた」「社内報は単なる情報共有ではなく、理念浸透、採用広報、エンゲージメント向上など幅広い役割を担える」「同じ職務に携わる仲間との出会いが何より貴重だった」「自分が楽しくないと人も楽しくなれない」 という声が聞かれました。



ICPの可能性は、まだまだ広がっている
今回のセッションを通じて改めて感じたのは、IC担当者の仕事は単なる情報発信ではないということです。
社員の声を拾い、経営の想いを翻訳し、人と人、部門と部門をつなぐ。
そして組織の中に眠る価値を見つけ、それを言葉にして届けていく。
ICPは、組織のコミュニケーションを支える“つなぎ役”であり、“翻訳者”であり、“価値編集者”なのかもしれません。
参加者からは「また参加したい」という声も数多く寄せられました。
IC Meetupは、事例を学ぶだけの場ではありません。
同じ悩みを持つ仲間と出会い、自分の仕事の価値を見つめ直し、自社に持ち帰る“次の一手”を考える場です。
これからもウィズワークスは、ICPの実践と成長を支えるコミュニティとして、学びと対話の機会を提供していきます。
次回のIC Meetupで、皆さまとお会いできることを楽しみにしています!
