「ICの重要性を、もっと社会に知ってほしいんです」
そう話すのは、社内報制作や広報など、さまざまな立場から企業のインターナルコミュニケーション(IC)に関わる、社内報事業部 インターナルコミュニケーションプランナーの高井愛子さん。
「ICとわたし」3回目では、いくつもの仕事を経験した先で「ICは、人を幸せにする」と考えるようになった背景を、wis-JOURNAL編集部が聞きました。
人の話を聞くことから始まった
――高井さんは、いろいろな仕事を経験されていますよね。
はい。
新卒では自動車販売店の営業職に就きました。
「その人の生活に、この車が入ったらどうなるか」と、お客様の生活に車を落とし込んで提案していました。
例えばお子さんがいる家庭なら、「スライドドアなら乗り降りするときも簡単で安全ですよ」「ここを折りたためば、お子さんが大きくなったときに自転車も積めますよ」と伝える。
今乗っている車と比べて、燃費がどれくらい良くなるのかを具体的に示したり、競合する車種との違いも、スペックを並べるだけではなく、具体的な使用イメージにして伝えたり。購入後もメンテナンスに来られるお客様には、車検にかかる費用や燃費を見ながら、乗り換えを提案することもありました。
その後転職し、美容室などを紹介する広告情報誌の営業になりました。
当時は、広告が掲載された冊子を手に取り、ページをめくりながら「どの美容室に行こう」と探す時代。どのような切り口で掲載するのが良いか、お客様と打ち合わせました。
「最近、新しいトリートメントを入れた」
「カットが得意なのか、カラーが得意なのか」
「今、お客様からどんなメニューが選ばれているのか」
お店の方の話を聞き、数字を見て、同じエリアのほかの店舗とも比較する。
そのうえで、掲載する内容を一緒に考え、読者にどう見せるかまで考えました。
一日に7、8件の美容室を朝から夜までかけて回り、合間には新規の飛び込み営業も。夜になり会社に戻ってから原稿や提案資料を制作をする。そんな毎日を送っていました。
――人と向き合う仕事をしていたんですね。
そうです。
営業って、商品を売るというよりも、お客様の話を聞く仕事なんです。
どんな生活をしているのか。
何を大切にしているのか。
美容室なら、そのお店の強みは何なのか。
そういうことを聞いて、一緒に考える。
私は、その仕事が好きでした。
社内報から見えてきた、働くということ
――その後、広報や社内報の仕事に携わります。
はい。あるメーカーに転職したところ広報に配属され、社内報を担当することになりました。
その会社では社内報を年5回発行していて、すべて内製で制作していました。
私は、取材、執筆、ラフ作成など、デザイン・レイアウト以外の制作を一人で担当していました。
企画を考え、台割を経営層へ提案します。
社内報を大切に考えられていた会長から、「メーカーの心臓は工場。技術的な部分や職人的な部分を受け継いでいかないと、会社の大事な商品がなくなってしまうから、現場の一人ひとりの努力や技術もちゃんと拾い上げてね」と言われたこともありました。
経営層の方針を先に受け取ることができるので、「こういう方針で行くんだ」「社長と会長はこういうことを伝えたいんだ」と自分なりに理解して、企画や取材に繋げました。
現場に取材に行くと、若いのにとてもやる気に満ちていて頑張っている人が多く、そういう方たちのもとに足を運び、話を聞くことができたというのは、とても貴重な経験でした。
前職までの経験も役に立ったと思います。
事前に準備をする、きちんと相手の話を聞く、こう言われたら嬉しいだろうな、こう聞かれたら答えやすいだろうな、というような感覚は、営業で鍛えられたものだと思います。
そうして出来上がった社内報は台車に載せて、社員一人ひとりに配って回りました。
手渡したその場ですぐにパラパラとページをめくってくれる人が多くて、今思い返すと、会社の中でも存在感のある、よく読まれている媒体だったんだなと思います。
発行ごとにモニター制でアンケートを回収していたのですが、「あの企画が良かった」「あの記事を周囲で読んでいる人が多かった」といった感想を聞くと、「ちょっと気持ちが動いてもらえたのかな」と、嬉しかったです。
――社内報の価値を実感した経験だったということですね。
そうですね。
「もっとこういう風にすれば影響を大きくできたかもしれない」と振り返ることもある一方、「こんな企画があれば、人の気持ちを動かせるかも」といったアイデアは、たくさんわいてきます。
でも、それだけではないんです。
この会社のあと、さらに別の企業にも転職しました。
複数の企業で経験を重ね、これまで働いてきた環境を振り返ったときに、気付いたことがあったんです。
すごく忙しくても、毎日前向きに働けた会社がありました。
一方で、ほぼ定時で帰れるのに、全然幸せじゃなかった会社もありました。
その違いは何だろうと考えたときに、人間関係やコミュニケーションって、本当に大切なんだ、と気付きました。
そして、会社の中のコミュニケーションを良くしていく「インターナルコミュニケーション」は、人が幸せに働くためにすごく必要なものなんじゃないか、と。
ICから、やりたいことが広がっていく
――働く環境の違いを、体感してきたということですね。
はい。仕事って、一日の3分の1くらいの時間を使いますよね。
その時間を、どんな人たちと過ごすのか。
どんな会社で働くのか。
それって、人生そのものに影響すると思うんです。
だから私は、インターナルコミュニケーションは、人が幸せに生きるために必要なものなんじゃないかと思っています。
――だから、ICを広めたい。
そうですね。
もちろん、社内報づくりも大好きです。
お客様からお話を聞いて、企画を考え、ラフを描き、ライターさんから上がってきた原稿をチェックして、デザイナーさんと一緒に形にしていく。
そうやって一つのものをつくっていくと、「誰かの心を動かすものをつくっている」という実感をすごく持てるんです。
この仕事は、生涯続けたいです。

ICから、やりたいことが広がっていく
――働く環境の違いを、体感してきたということですね。
社内報づくりの仕事は、「お客さまと二人三脚」で行うものだと思っています。
お客さまには情報、ネットワーク、そして自社で働く一人としての愛情があります。
ディレクターには企画・制作の知見・ノウハウ、そしてお客さまを思う気持ちがあります。
その両方が合わさることで、社内報づくりの質向上が可能になります。
だから、専門会社としての知識やスキルを磨き続けなければなりません。例えば、お客さまのお悩みや叶えたい目的に対して最適なご提案を速やかに提示できるよう、常に様々な企業の社内報を読み込み、アイデアの引き出しを増やす努力をしています。
知識やスキルを磨くことは、まったく苦になりません。お客さまにもっと喜んでいただけることにつながりますので。

ICの重要性を、もっと社会に知ってほしい。
働く人が前向きになれる会社が増えたら、その分だけ幸せになる人も増えると思うからです。
――最近は、関心がさらに広がっているそうですね。
はい。
社内報をつくっていると、その会社で働く人たちのことが見えてきます。
役員メッセージを読めば、その会社がどんな未来を目指しているのかも分かります。
そうした経験を重ねる中で、最近は経営そのものにも興味が出てきました。
会社はどうあるべきなのか。
組織はどうすればもっと良くなるのか。
私に何ができるのか、まだ答えは分かりません。
でも、振り返ってみると、ICに興味を持ったところから、どんどん関心が広がってきたように思います。
だから、もっと知りたいし、もっと極めたい。
そして、ICの大切さをもっと社会に広めていきたいです。

今は、5社の社内報制作を担当し、複数の企業の社内報アプリの運用支援にも携わっています。また、ウィズワークスの広報・ブランディングを通じて「IC」そのものをもっと知ってもらうための活動をしたり、ICの実態を明らかにする「IC白書」の制作を進めたりしています。
社内報をつくることも、ICの実態を明らかにすることも、ICそのものを社会に知ってもらうことも、私の中では全てがつながっています。
これからも社内報やICを通じて、前向きに働ける環境を増やしていきたいです。
ウィズワークスは、働く人が前向きに会社や仕事と向き合える環境づくりを、インターナルコミュニケーションの側面から支援しています。
社内報や社内SNSなどのメディアづくりはもちろん、組織の課題や目指す姿を伺いながら、「誰に、何を、どのように伝えていくのか」をともに考え、企画・制作・運用まで伴走します。
「社内のコミュニケーションをもっと良くしたい」「社員に会社の思いや方針がなかなか伝わらない」など、インターナルコミュニケーションについてのお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。