制作の舞台裏―『月刊総務』事業01―


ウィズワークスが発行する総務部門向けの専門誌『月刊総務』。創刊から50年以上と歴史あるこの専門誌は、どのようなことを意識してつくられているのか――。『月刊総務』の制作現場を先導する、薄井浩子 副編集長に聞きました。

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――『月刊総務』はいつもどのように企画されていますか?

『月刊総務』は、主に二つの特集と、総務実務で活用できるマニュアル、そしてさまざまな分野の専門家によるコラム記事などで構成されています。第一特集とマニュアルは、企業の総務部門の中で通年ニーズの高いテーマや、近年外せない新しい情報を取り上げていますが、特に第一特集で心がけているのは「気付き」「きっかけ」が得られる内容にすることです。

私たちは“総務”をサービス部門ではなく、会社の中枢であり、戦略部門だと考えています。ですから、いま現在業務と直接関連していない、あるいは経営課題とされていない内容であっても、読むことで知見が広がり、また自社事として考えるトリガーになるような企画を立てるようにしています。一方で第二特集は、法改正などそのときの旬のネタを、総務の観点で取り上げるように意識していますね。

『月刊総務』副編集長 薄井浩子
 「デザインができ上がってくる瞬間が一番好き」と薄井。「今月も形になる」という喜びがあるという
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――企画を立てる上で重要なところはどこでしょうか?

やはり下調べだと思います。先述したように特集などでは、単なる実務の紹介だけではなく、なぜそれを取り上げるのかという背景まで一緒に盛り込んでいきたいので。おおまかにテーマが決まったあと切り口や見せ方を考えていくのですが、このとき下調べをあいまいにしてしまうと、取材の際にこちらが聞く内容も、取材相手の答えもずれてしまう。企画自体の狙いが変わってしまうことになりますから。

――それでも、取材相手が言いたいことと、編集側が伝えたいことがずれることもあるのでは?

『月刊総務』は一方的な主張はせず、客観的な視点で編集することを意識しています。企業の在り方はさまざまですから。特に企業の事例を紹介する場合は、企業規模や業態によって多様な取り組み方があることをフラットな立場で紹介することで、読者の方が「自分の会社だったらどうするか」を考えられるようにしています。そこに私たちの持論は必要ないと思っています。

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――では、『月刊総務』らしさとは何でしょうか?

簡単に聞こえてしまうかもしれませんが、「読みやすさ」でしょうか。まず、テーマをさまざまな角度から切っていくためにも、私たちは第三者の視点となることを意識しています。『月刊総務』は専門的な媒体ですが、読者にはあらゆる立場の方がいて、知りたい角度やレベルが異なります。話が一方的になっていないか、思い込みで書いていないか、読者にきちんと伝わるかを見極める必要があります。取材でも編集作業でも、それらを引き出すことが私たち編集者の役割と考えています。

また、『月刊総務』では毎号基本的に台割(※1)やレイアウトを大きく変えないようにしています。定期購読者の方が多い媒体なので、台割やレイアウトがころころ変わってしまうと、どうしても読みづらくなる。決してスタイリッシュである必要はなく、読者の方が毎号、「自分が読みたいものはこのあたりにある」と感覚でページを開けるような雑誌づくりを心がけています。

『月刊総務』ができるまで
 編集部と担当のデザイナーが集まり、色校正(※2)を確認。デザイナーの意見を直接聞き、今後の方向を話し合う場にもなっている
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――『月刊総務』で今後目指すところは?

『月刊総務』は歴史が長く、専門誌として積み上げてきたものがあります。しかし、自分自身がさらにプロとしてどんどんアンテナを張って、なにが求められているのか、なにを発信していけばいいのかを的確に捉え、読者の皆さんにもっと有益な情報を届けていきたいですね。加えて、雑誌の場合どうしても速報性が弱くなるので、今後は月刊総務オンラインの機能を高め、より連携を深めていけたらと思います。

『月刊総務』から派生した本
 『月刊総務』から派生した書籍『協創力が稼ぐ時代』(左)と『人本(じんぽん)経営』(右)。いずれも薄井が編集に携わっている
注釈
  • ※1 台割 : 雑誌など印刷物の全ページの構成と内容が記されたもの
  • ※2 色校正: 文字校正だけでなく、デザインや発色の確認も行う校正のこと
ープロフィールー

『月刊総務』副編集長
薄井 浩子

リクルート(現・リクルートホールディングス)での社内報『かもめ』編集担当の経験を生かし、ナナ・コーポレート・コミュニケーション(現・ウィズワークス)に入社。『月刊総務』事業、社内報事業に11年間従事した後、タウン誌の出版社にて編集実績を積む。2013年にウィズワークスに戻り、現在『月刊総務』の副編集長を務める。

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撮影:小嶋則之(ウィズワークス)