ぐるり“ヒト”めぐり第1回


ウィズワークスの仕事は、さまざまな人たちの協力を得て成り立っています。「ぐるり“ヒト”めぐり」では、いつも支えてくれる人たちのプロフェッショナルぶりを通して、私たちの仕事のリアルをお伝えします。第1回は、“校正”のプロである株式会社ヴェリタの代表取締役 渡辺純子さんにご登場いただきます。10年以上パートナーとして、共に社内報をつくり上げてきた社内報事業部 部長 中内麻里が対談のお相手を務めます。

01 “ヴェリタ”を追求する

中内: ウィズワークスの制作の現場では、あらゆる分野のエキスパートが協力スタッフとして、私たちの制作物のクオリティーをバックアップしてくれています。その中でヴェリタの皆さんには、“校正”のプロとして私たちの制作をしっかりと支えていただいています。私が初めて御社に社内報の校正をお願いしてから10年以上が経ち、弊社がお願いしている案件もずいぶん広がりましたよね。

ウィズワークス(株)社内報事業部 中内麻里

渡辺さん(以下、敬称略): 社内報でいうと十数誌ほどお任せいただいています。

中内: さまざまなメンバーとやりとりしている中で、弊社の印象はいかがですか?

渡辺: 鋭いと思いますよ。編集者の方々が細部にまでこだわってつくっているので、校正者も気が抜けないですね。

中内: それはこちらも同じで、ヴェリタの皆さんのお仕事によって、背筋が伸びている部分があるんですよ。いつも感じるのは真実に対する追求心。校正というと、一般的に誤字脱字を見つける、表記をそろえるということに目が向けられがちですが、ヴェリタの皆さんは、企業の名前で発行する媒体として適切かどうかという「品格」のところまで読み込んでくれていると感じます。Webサイトなどをくまなく確認して、正式名称を突き止めることはもちろん、たとえばダイバーシティーなどの観点から表現のチェックをしてくれていることが分かりますし。「フランス、オーストラリア、香港など9カ国が」という文章に対して、「香港が入っているので、9の国と地域では?」という指摘を受けたことは印象に残っています。

(株)ヴェリタ 渡辺純子さん

渡辺: ヴェリタはイタリア語で「真実」という意味ですからね(笑)。校正の会社によっては、そこまで確認しないところもあるかもしれませんが、私たちにとってそれは当然のこと。スタッフには、ヴェリタと名乗っているのだから、妥協しないで調べようよ、と常々言っています。

中内: ゲラのダブルチェックをするのも、真実を追求するヴェリタだからこそ、でしょうか?

渡辺: 新人には必ずベテランをつけてチェックしています。誤字脱字の抜け漏れをチェックすることはもちろんですが、校正者の中にある固定観念で大事な原稿を傷つけていないか、もう一人が見つけて正すためでもあります。だいたい皆、日本語に対するこだわりが強いですから、「ここはおかしい!」と余分なダメ出しをしてしまいがちですが、論拠のない主観的な疑問は許されません。

02 社内報は校正の教科書
校正について対談

中内: 幅広いお仕事の中で、社内報はどういう位置づけですか?

渡辺: 社内報は前号、去年の春号、一昨年の冬号……のように、典拠できるものがあり、用語用字の基準やその企業独特の用語ルールが決まっていることも多いですね。社内報には、校正がやるべき仕事のABCからXYZまで詰まっているので、私たち自身も勉強になる媒体です。ヴェリタでは、見本誌が届いたら校正したゲラと照合して、赤字が採用されたかどうかを必ず確認するシステムをとっています。社内報を校正の実践的な教科書として活用させていただいているんですよ。

中内: そうしたプロセスも、ヴェリタのクオリティーを支えているんですね。10年以上のお付き合いの中で何度も助けていただきましたが、忘れられないのはある社内報の海外グループ会社紹介。原稿に書かれていたインドネシア国旗の制定年を、外務省のサイトなどで確認して、「制定年には諸説あります」と指摘してくれましたよね。その指摘を受けて、私が大使館に問い合わせ、真実にたどり着くことができました。

渡辺: 校正者の仕事は、調べを通して事実の論拠を提示するところまで。そこから判断するのは編集者の領域ですよね。制作チームの一員として良いものをつくっていくために、私たち校正者は何をすべきかを常に考えています。ルールにのっとって、さまざまな物事を解明して、整理して、照合して……縁の下の力持ちの仕事ですが、やっぱり校正にしかできないことがあるはずです。クライアントや編集者は何をチェックしてほしいのか、何が狙いで私たちにどういうところを求めているのかを意識しながら、仕事をすることが一番大切ですね。

校正について語る

中内: 社内報づくり自体も同じことがいえると思います。課題や方向性など、背景にあるものは組織によって違うので、社内報も「100社100様」。私たちは、「何のために社内報を出すのか」をお客様と一緒に考えながら、お客様が求めるカタチを一緒につくっていくことが大切だと思っています。一方で、制作は編集者一人で完結しません。ライター、デザイナー、校正者といった各分野のエキスパートたちが、ベストなパフォーマンスをしてくれることで、初めて私たちはお客様に良いサービスを提供できていると思うんです。

渡辺: やっぱり仕事はチームプレーですよね。これからもどうぞよろしくお願いします。

中内: これからもお世話になります。

お礼状を読み返す
お客様から送っていただいたお褒めの言葉やお礼状をうれしそうに読み返す渡辺さん
校正の様子
ウィズワークスの自社媒体『Commu-Suppo(コミサポ)』を校正中
校正紙の山
このゲラの山を約1週間~10日ですべて校正するという
プロフィール
(株)ヴェリタ 渡辺純子さん
『校正という仕事』

株式会社ヴェリタ
代表取締役
渡辺 純子さん

亜細亜証券印刷(現・プロネクサス)や新潮社での校正を経て、1998年に校正プロダクション・株式会社ヴェリタ(http://co-verita.com/)を起業。校正の依頼は社内報をはじめ、雑誌、単行本、カタログ、財務データのチェックまで多岐にわたる。2015年5月に、さまざまなジャンルで活躍してきた6人のベテランが現代の校正を語り尽くした単行本『校正という仕事――文字の森をゆき言葉の海をわたる――』(世界文化社刊/写真右)を編集・発行。

ウィズワークス(株)社内報事業部 中内麻里
中内麻里愛用の万年筆

ウィズワークス株式会社
社内報事業部 部長
中内 麻里

子供服メーカーにて約6年間の社内報編集担当者を務めた経験を生かし、2003年にウィズワークスの前身であるナナ・コーポレート・コミュニケーションに入社。社内報の企画・制作に携わる。2017年1月より現職。「制作にご協力いただいた皆さんには、いつも見本誌に添えて、感謝のお便りを送っています」(中内)。写真は愛用の万年筆。

撮影:小嶋則之(ウィズワークス)